麻生太郎外相の国際会館での講演会への抗議行動の呼びかけ

はじめに
 各地で日々それぞれの課題に取り組まれているみなさん。わたしたちは京都在住の学生・青年を中心とし、これまでイラク戦争に反対する活動を中心として取り組んできた団体「反戦と生活のための表現解放行動」といいます。
<団体ウェブサイトhttp://hansen-seikatsu.hp.infoseek.co.jp/
http://hansen-seikatsu.hp.infoseek.co.jp/
 このたび、わたしたちは京都で「外交フォーラムイン京都?麻生外務大臣と語る120分」というイベントが「日本外交の新機軸」をテーマとして行われることを知り、麻生外相および日本政府に対し批判の意思表示をするために行動することを決定しました。

イラク戦争
 2001年10月のアメリカによるアフガニスタン侵攻以来、それに引き続くアメリカ主導の2003年イラク侵略戦争・支配から現在のイラク「独立」後にまでおよぶ軍事的暴力の行使に、日本政府は自衛隊派兵という最悪の形で今なお加担し続けています。
 アメリカ本国においてすらその開戦の正当性が否定され、また現在ではその政策全体の正当性をめぐって政権を揺るがす事態になっておりながら、日本政府は相変わらず開戦そのものを肯定し続けています。その安倍首相のもと外交を担当する麻生は一方で「(ブッシュ政権イラク政策は)非常に幼稚」と発言しているにも関わらず(※1)、クウェートに駐留する航空自衛隊が最前線であるバグダッドへの人員・物資の輸送を開始するなど日本の侵略・支配への加担はより深化の一途をたどっています。

米軍再編
 また、そうした「幼稚」な政策を採用する米政府と、この間「2プラス2」というかたちで協議し、米軍と自衛隊の一体化を基調とした、沖縄を中心とした各地への基地・軍備強化を現地の民意を無視する一方的な「合意」として押しつけてきたのは、麻生外相が担当する外務省と久間元防衛庁長官が担当する旧防衛庁です(※2)。この二人が米政府に対し批判的な言動をおこなったとしても、それは現状を糊塗する悪質なパフォーマンスにすぎないとわたしたちは考えます。

戦時性奴隷制
 また、麻生外相はこれまで幾多の問題発言を行ってきた人物です。もっとも最近のものでは、アメリカ下院における日本の戦時性奴隷制度への「明確な謝罪」を求める超党派の動きにたいし、外相は「客観的事実に全く基づいてなく、甚だ遺憾」と衆院予算委員会で行いました(※3)。大日本帝国の軍隊が、軍事的目的で多くの女性を「従軍慰安婦」として蹂躙したことは、生存者の方々の勇気ある証言および研究者の努力により事実として明らかになっており、日本政府自身も自らの調査に基づきそのこと
を認めています。しかしながら、これまでの日本政府の取り組みが不十分であることは、多くの当事者および支援にたずさわる人々による国際的に得られた共通見解であり、現在では被害者に対する謝罪と補償とを「いかにしておこなうか」こそが課題となっているはずです。そのことに目をつぶり、アメリカ議会での動きを批判することを通じて、さらなる被害者への侮辱を繰り返す外相を容認することはできません。また、これは一人外相に留まらず安倍首相自身から3月1日には軍の関与そのものを否定する発言が行われました。こうした政府一丸となった悪質な歴史修正に抗して、わたしたちはともに批判の声を上げていく必要があると思います。

日朝国交正常化
 また、麻生外相は2003年の東京大学での講演会において「「創氏改名」は朝鮮人自身が望んだことだ」」と発言しています(※4)。植民地支配という歴史的文脈を一切無視して、このような発言がおこなえる人間を外相として、北東アジアの課題の解決における国家間外交上の重要人物としつづけることは、暴挙に他なりません。
 「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」とかかげた小泉?安倍政権において、五年間に渡り結局のところ拉致問題についても一つも前進しておらず、またそのことが侵略と植民地支配の歴史を踏まえた日朝国交正常化の可能性をも完全に閉ざしています。日本の侵略における重大な犠牲者であり、未だに深刻な人権侵害の中を生きる在日朝鮮人先住民族であるアイヌ民族、独自の文化と歴史を持つ沖縄の人びとを完全に無視し、いまだに「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにない」といえる人間は、そもそも問題を解決するためには根本的に不適格です(※5)。

未来
 みなさん、有事法制など戦時体制づくりが着々と進行する過程でそれと軌を一にするように、各地で社会運動への弾圧が強化されています。立川反戦テント村に対するビラまき弾圧に始まり、公安警察の言論封殺ともよべる弾圧が数年にわたり打ち続き、昨今では各地で朝鮮総連およびそれに関係する諸団体に対する言語を絶する政治的弾圧が行われています。社会的に発言する場が奪われてゆくとともに、先月には生きることそのものを根こぎにするかのような公園生活者のテントの強制撤去がおこなわれました。
 日々深刻化するそれぞれの課題の中で、わたしたちは未だ微力です。それでもこうして呼びかけ、ともに行動することを希求することにしか、わたしたちは賭けることができません。また、そこに生まれた行動そのものに、共に生きるという課題への自らの回答があると考えます。「つながり」こそが世界を変えると信じ、みなさんに呼びかけます。3月17日にともに行動しましょう!

取り組みのスケジュール
2007年3月17日土曜日

12時半地下鉄烏丸線「国際会館前」駅上にて集合
13時〜14時まで抗議のビラまきとアピール
14時から集約
※当日配布するビラおよび掲げるプラカードを準備しますが、もちろん多くの方々による独自の持ち込みを歓迎します。

※1 『京都新聞』2007年2月6日朝刊「麻生氏、米イラク政策「幼稚」発言」
※2 在沖米軍をグアムに移転させるために61億ドルもの費用を負担し、さらに「合意」
では、そのグアムに建設予定の基地の撤去費用すら日本が支出することとなっていま
す。このことから、現政権がグアムからの基地撤去を不都合として基地の恒久的押し
つけに今後加担していくであろうことは明らかです。
※3 『京都新聞』2007年2月20日朝刊「慰安婦問題 外相、謝罪要求は遺憾」
※4 2003年5月31日の東京大学学園祭での発言
※5 2005年10月15日の九州国立博物館開館記念式典の祝辞での発言

<外務省ウェブサイトhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/press/event/gf_070317.html