ノムヒョン死去と核実験
韓国の「ハンギョレ新聞」のウェブサイトにノムヒョン前韓国大統領の写真を集めた4分のビデオクリップがある。(リンク先は韓国語、ビデオの再生ボタンで再生)
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/357405.html
また、市民の「偲ぶ集会」ビデオもハンギョレ新聞のウェブサイトより。
http://www.hanitv.com/haninews/sub_index.php?movie_idx=358&depth1_idx=7&info_idx=70&pagesize=10&gotopage=1
下のビデオで歌われている歌「広野から」は民衆歌謡のひとつで、デモの現場で歌われる歌だ。上のビデオでは、弁護士時代の写真から、家族とともに写る写真は、やはり人生最後の5年間の大統領イメージの強さが染み付いている私の目から見ると、とてもインパクトのある写真だ。大学には行けずに高卒で弁護士になり、民主化の過程でも闘った人物である。あるいは議員になって以降も、大統領選挙で市民を味方につけ、どんでん返しの勝利をして以降、金大中の流れを守った。前政権の太陽政策も引き継ぎ、任期の最後には朝鮮民主主義人民共和国へ地上から訪問し、首脳会談も行った。しかし同時に、経済自由化や平澤米軍基地建設の強行など、もうノムヒョンはダメな人なのかと思わされることも多々あったわけだが、李明博以降の信じられないほどに暴力的で逆ギレのような逮捕の情景を見せ付けられると、金大中以降の5年間の韓国大統領を担った人物の姿が、よく見えてくる。
5月25日、朝鮮民主主義人民共和国は核実験を行った。日本や中国、朝鮮半島を含め、すでに東北アジアの高度な軍拡競争へいかに対抗するかは私たちの緊急の課題である。ただ、金正日や麻生太郎や李明博などがトップをつとめる現在の諸国家と私たちが同一化する必要はない。私たちは「平和のための核保持」というロジックを容認しないためにも、沖縄やグアムの米軍基地が作りかえられようとしていること、あるいは日本以外の地域では国を守るために兵役制度が施行されていること、それらに抵抗したい。「平和のための軍事力」という言葉に絶対に納得せず、丁寧に抵抗することから、東北アジア地域の高度な軍事化と軍拡競争に抵抗していきたい。高度な軍事化と軍拡競争の条件になっている朝鮮戦争は、同時に日本の「経済発展」と「戦後復興」の条件であった。冷戦体制の中、あやふやなお詫びと賠償でアジア各国と植民地支配と戦争責任の解決をしようとしてきた日本政府であるが、その日本がいまだに朝鮮民主主義人民共和国と国交を結んでいないことを問わなければならない。現在に至るまで、日本は決して平和な国であったわけではない。戦後補償は国家に対してだけ行われ、80年代の軍事独裁政権崩壊以降にあふれ出てきた様々な個人の訴えに対して日本政府は被害者が亡くなるのを待つばかりで何も答えない。いわば、軍事化と軍拡競争への抵抗は、朝鮮戦争を終結させるためにも、私たちが住む日本においても、繰り広げなくてはならないい。
冒頭に紹介したビデオの最初の導入句は「ばか・・・ノムヒョン」という言葉だ。その何重にも読み取れる「ばか」という意味を、引きずって引きずって考えてみたい。
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