奨学金滞納者を通報へ 学生支援機構、金融機関側に

サパタです。奨学金滞納者が20万人を超える状況で、学生支援機構はさらに強行策に出た。

奨学金滞納者を通報へ 学生支援機構、金融機関側に
大学生の約3割に奨学金を貸している日本学生支援機構が、全国の銀行などでつくる信用情報機関に滞納者情報を通報する滞納防止策に乗り出す。滞納額増加に悩んだ末の強硬策で、年内に信用情報機関に加盟する見通し。通報されると対象者は、銀行ローンを組めなくなったり、クレジットカードを作りづらくなったりする可能性がある。朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1009/TKY200810090310.html

そもそもの問題の根源は授業料が世界でも有数に高額で、卒業までに数百万!の借金を学生が背おうのが当然になっている政府の政策のせいだ。もっと言えば、就職してもフリーターになれば低賃金で日々の生活に精一杯だし、正社員になっても長時間の労働を強いられて、いつ退職してもおかしくない労働現場のせいである。その中でどうやって奨学金を返せばいいのか。大学院を見渡せば、借金返済のために、研究ポストにつこうと自分を追い込み、メンタルヘルスを壊している人が大勢いる。このような構造的要因を意図的にそらし、借り手の「モラル・ハザード」のせいにしようとする「有識者」懇談会の提言なるものと今度の方針を徹底的に批判したい。さらにこの論理の延長線上には、「資産の差し押さえ」という最終策が控えているのであり、現在の制度自体の変革が必要とされている。
この問題は財政的な支出抑制と言った消極的理由だけでなく、資本主義にとって学生が巨額の債務を背負っている状況は都合がいいのことによる。(当然親が学費を稼ごうと必死にお金をためるのも含まれる。子供の学費を稼ぐため過酷な労働を行うバス運転手が描かれるNHKドキュメンタリーを推薦しておきます。「高速ツアーバス 格安競争の裏で」http://video.google.com/videoplay?docid=-7978300445495351803)自分自身、借金があることによって、将来、返済のため競争社会の中でがむしゃらに労働をしなければいけないのではないか、というプレッシャーを常に感じる。債務が自分を「経済人」としての主体に作り変えていくようである。世界銀行などが推進している援助政策でも、個人に資金を貸し付けることにより、農民を「私企業的」主体へと作りかえることが目指されているのと類似している。それはこれまで農民としての集団的な主体意識をもっていたものを、借金によって市場経済で互いに競争しあう農業「経営者」へと変化させ、資本主義が利潤と測定するものを生産するよう仕向けるのである。
さらに債務は昔から債務奴隷という言葉があるように人を従属させる手段としてつかわれてきたのではないか。ボリビアの大土地所有制下での現在のグラアニ先住民族の状況について、米州人権委員会2006のレポートの訳を見てみよう。

グアラニ民族の農園労働者は長時間の過酷な労働に曝され、服従しない態度を見せれば体罰を受けることもある。賃金を物納で受け取り、あるいはわずかな現金を受け取っても、農園主を通じて高価格の日用品を購入することで債務に縛られる。債務がある限り農園に縛り付けられる。時には債務の支払いを通じて、他の農園主に引き渡される。子どもは学校へ行くために、農園主のもとで働かされ・・・」
(開発と権利のための行動センターから転載http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2008/05/post_de85.html
これは自分たちにとっても「人々が大学に行くことによって債務を負う。債務があるため過酷な賃労働に縛りつけられる」と読み返ることができるのではないか。資本主義経済に従属するための道具である学生支援機構への借金、高学費はもうたくさんだ。
スローガン
大学の学費をタダにしろ!
学生支援機構の借金を棒引きしろ!
受験競争はもうたくさんだ!
人を序列化し労働の階層化を作り出す大学入試をなくせ!
全入の大学を世界の全ての人が使える空間にしろ!