【韓国】移住労働者摘発に反対する。

10月7日、日本と同様に在住外国人の摘発が強化されている韓国で、ある移住労働者が捕まえられた。13日現在、いつ強制出国されるかわからない状況である。日本での状況ももちろん深刻であり、普段日本人の多くが考えることがない国境そのもの自体の暴力が目に見える形で出現しているのは、日本においてももちろん同様である。

たとえば日本国の入国管理局のホームページをみると、

法務省入国管理局では,「ルールを守って国際化」を合い言葉に出入国管理行政を通じて日本と世界を結び,人々の国際的な交流の円滑化を図るとともに,我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより,健全な日本社会の発展に寄与しています。

ということが書いてある。これは明らかに国境の強化でしかなく、人の移動、人の居住を、その背景を無視して「いい外国人」と「悪い外国人」を勝手につくりだし、そのレッテルによって排除を正当化するものだ。

私が韓国にいたとき、移住労働者組合の活動家と登山をしたことがある。南アジア出身の彼は「雪なんか見たことねーよ」と、私とともに雪にこけそうになりならが、山に登って、つるつると下りていったことがおもい出される。

前置きが長くなったが、ここに声明書を訳載する。原文は韓国語で、摘発された方が属している移住労働者放送と事務所を共有している「研究空間スユノモ」のホームページで原文と、最新状況(韓国語)を見ることができる。なお、移住労働者放送は、このブログでも以前掲載したことがあるが、移住労働者映画祭を主催している。

原文はこちら(http://www.transs.pe.kr/xe/?document_srl=239164

なお、支援者らによる対策委員会がつくられており、以下のページで写真を含めたさまざまな資料、最新情報を見ることができる(韓国語)。
http://cafe.daum.net/free-minu

移住労働者ミヌ氏を釈放せよ!

MWTV(移住労働者放送)の代表的な活動家であり移住労働者バンド「スタプクレクタウン」のボーカルであるミヌ氏(ネパール)が10月7日朝、自宅の前で潜伏していた出入国管理所の取締り班員によって捕まえられた。移住労働組合の数多い幹部たちを標的にした取締りだけでなく、今度は文化的に移住労働者の韓国生活を助け、韓国社会に寄与してきた人まで無慈悲に捕まえている政府を、いったいいかなる言葉で糾弾できうるのか想像もつかない。
 ミヌ氏は1999年から音楽活動をはじめ、KBSの外国人のど自慢で大賞を受け、政府から大統領賞まで受けた。2003年には移住労働者が自ら結成した「スタプクレクタウン」バンドのボーカル兼リードとして数多くの公演を通し、移住労働者の哀歓を歌い、韓国社会と移住労働者の疎通と結合の先頭に立ってきた。いつも公演のときごとに、作業中に切ってしまった指が出た軍手をはめ舞台に立ち、「80年代の韓国労働者たちが指を切りながら働いてきたが、いまは移住労働者がこのような立場にいる。それを忘れないために、この手袋をはめます」と言っていたほど、移住労働者としての経験を文化的に上昇させようと努力した。
そして映像とメディアで疎通するための移住労働者の放送を、ほかの移住労働者や韓国活動家とともにつくり、移住労働者のメディア文化を発展させてきた。移住労働者の放送で主催してきた「移住労働者映画祭」は、いまや代表的な映画祭として認知され、年を重ねるごとに韓国社会の移住労働者理解のために、大きな寄与をしている。賞をくれるならくれたらいいが、取締りという刃物を受けなければならないなんて理にかなわない。
このように、多くの寄与をしてきた移住労働者までも取締るということが、政府が言っている「外国人とともに生きるあたたかい社会」ということなのか?さらに、今回の取締りは明白に標的を定めた取締りだ。移住労組指導部取締りでも明らかになったように、尾行と潜伏を通し多くの人員で飛びかかり、一挙に捕まえてしまうというやり口だ。これは政府が予告していた10月11月の未登録移住労働者に対する集団取締りの始まりという点で、これからの集団取締りがどれほど過酷で反人権的なことなのかを推測させる。また、ミヌ氏のように社会的に名前が知られている人に対してまで取締るということを見せつけることによって、登録であれ未登録であれ全ての移住労働者に威嚇を加える効果をねらっているのだ。
したがって、私たちは、このような不当な取締りはあってはならず、政府が即刻M氏を釈放することを強力に追及する。それは、政府がいう外国人人権を尊重するあたたかい多文化社会に一致する道だ。

2009年10月9日
ソウル京畿仁川 移住労働者労働組合

kg(訳も含む)