ワンストップ・サービスでは生活保護申請ができない!

今日17都道府県77箇所のハローワークで、生活・労働・福祉の相談と申請が出来るワンストップ・サービスが一日だけ試行された。
ワンストップ・サービス試行開始 失業者支援を一括対応 朝日新聞 2009年11月30日
http://www.asahi.com/politics/update/1130/TKY200911300180.html
去年の年越し派遣村等、社会運動の圧力によって国や行政が貧困対策にしぶしぶ乗り出したと思っていたらどうもそうではないらしい。これは国家戦略局参与となった湯浅誠さんが主導して行った失業者への年末年始対策の目玉事業だったが、自治体の首長の強力な反対により、そのワンスットップ・サービスから重要な生活保護申請がはずされたらしい。湯浅さんいわく「いくつかの自治体の首長に直接会って話しましたが、私に向かってホームレスが来るならやらないからなとはっきり言った首長もいたぐらいで、自治体の抵抗は私の思った以上に強いです」という猛烈な反対に合い、生活保護申請を入れるとワンストップ・サービスそのものの開催ができない状況だった。(この経緯については国家公務員一般労働組合のブログで読めますhttp://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10393986579.html
 結局ワンストップ・サービスでは生活保護と失業保険の中間の第二のセーフティーネットである、訓練・生活支援給付、就職安定資金融資、住宅手当、生活福祉資金、臨時特例つなぎ資金などの制度だけの申請が行えた。
また自治体独自の福祉制度についても,そもそも住民票を持っていない野宿者や,場所を転々とする工場派遣労働者等を意図的に申請できないよう作られている。「その人たちはうちの自治体に地方税を払っていないから福祉サービスを受ける資格がない」自治体は言い放ち、住民票を置いて1年〜2年経過しないと受給資格がないよう設計されているらしい。暗に陽に貧乏人を排除することで、失業者あたりの失業保険受給率(日本23%、ドイツ87%)や生活保護捕捉率の極端に低い数字に代表されるような社会保障の意図的な欠陥を生み出し続けている。これらの発言から行政は持たざるものへの差別的な敵意を持っていると断言できる。自分らの生存を貶める、これらのふざけた自治体の首長に一言ディスりたい、「貧乏人をなめるなよ」
せっかく国家戦略局のアドバイザーになったからにはこのような行政の内幕をもっと暴露してほしいと湯浅さんには期待しています。
サパタ

参考
失業手当:不受給77%…日本は先進国中最悪の水準 毎日新聞 2009年3月25日
ジュネーブ澤田克己】国際労働機関(ILO)は24日、経済危機が雇用に与えた影響についての調査報告書を発表し、失業手当を受給できない失業者の割合が日本は77%で、先進国中最悪の水準にあると指摘した。2番目に悪い水準のカナダと米国(同率の57%)を大きく上回っているとしている。他の先進国は、英国40%、フランス18%、ドイツ13%で、日本は受給できない人の割合が際立って多い。
 日本の場合、失業手当受給に必要な保険料納付期間(1年)の制約のために受給できていない非正規雇用労働者が多いことなどが反映したとみられる。報告書は特に、日米カナダの3国を列挙して「受給要件が(他国より)厳しいため、手当を受け取っていない失業者が半数を超えている」と指摘した。
 失業手当を受給していない失業者の人数は、米国630万人、日本210万人、英国80万人、カナダ70万人、仏独がそれぞれ40万人で、人数でも日米が突出している。また、先進7カ国で、今年初めまでの12カ月間に失業した人の数は、米国が410万人でもっとも多く、日本は2番目で29万人、3番目がカナダの20万7000人だった。
 一方、途上国では、都市部だけで制度が運用されている中国で、都市部の失業者の57%が手当を受け取れていない。全国規模に換算すると84%近くが受給できていないと推定された。ブラジルも、失業者の93%が手当を受けていないという。